カツカレー
2009年度の、日本工芸会東日本支部の総会が、上野の東京都美術館の講堂で行われ、無事終了しましたので、報告いたします。
毎回のとおり、事業報告や会計報告などがあり、幹事選挙の方法を、若干変更する。という議案が通りました。これはいままで、かく部会ごとに幹事の定員を按分して、選挙で選んでおりましたが、「定款」では、「特別会員」にも被選挙権があるとしてあり、これまで通りのやりかただと、どの部会にも属さない「特別会員」には幹事になるチャンスが無かったのが、現状でしたので、今後は選挙の結果をふまえて、「総会」で幹事を推薦し、承認してもらう。という、手順を踏むことになりました。
総会のあとは、毎回恒例の講演会です。今年、お招きしたのは茨城県つくば美術館の外舘和子先生。「伝統工芸とはなにか?」というテーマでした。
「伝統工芸とは、これこれこういうものだ。にもかかわらずアンタたちときたら、まったくもう!」というお説教かしら?と思いきやそうではなく、日本工芸会や伝統工芸展の創世期の出来事、顛末を、分かりやすく解説してくださいました。
この講演の内容については、東日本支部の会報に載りますが、私なりに印象に残った言葉をいくつか。
「伝統とは、思想であり、学問、芸術でもある。展開、発展していくものである。」
「伝統工芸の作家は、伝統技術が創造性に関係していると信じている。すなわち『伝統的な技術にかかわっていると、新しいことがみつかる』ことを知っている。伝統技術と創造が対立せず、セットになっている。」
「西洋人にとって、技術は手段。作家たる条件は、アイディアを提示できるかどうか」
(村上隆氏の言葉を借りる形で)「外国では、作家イコール大学の先生。アーティストの最終目的が、大学の先生というのはおかしい。」
講演会が終わると、東京芸大構内の学食にて、懇親会。
まだ4時だというのに、皆さんお揃い。問題は「大学構内なので、5時にならないとアルコールは提供できない」こと。これから一杯やるのに、お茶飲むわけにもいかないし、おつまみはどんどん出てきちゃうし、どうしよう?と思っていると、どこからともなく、「そろそろ5時じゃない?」「うん、だいたい5時だ。」「乾杯は5時にして。そのまえに乾杯の練習をしておいたらどうか。」ということで、なんとなくスタート。
7時でお開きになっても、まだ外は明るく、上野公園を散歩しながら、不忍池のほとりにある「蓬莱閣」という中華料理屋さんへ、
ここは、それほど高くなく、味も悪くなく、すくなくとも30年前からある老舗。なのにいつも空いている。50人や100人、予約なくても、いつでも入れそうな感じ。12人のオヤジがクラゲと、焼き餃子と、それぞれ冷麺食べて、ピール飲んで、紹興酒飲んで、約38000円。
冷麺の麺なんか、ラーメン屋とは一味違う、比重の重い中華料理屋の麺で、どうしていつでもガラガラなのか分からない。
ところで、話は変わりますが、有名なプロレスラーが試合中に事故で亡くなったのだそうで、真剣勝負かショウか。というヤボな話ではありませんが、すくなくとも「受け身のプロ」であるレスラーの事故に、目が留まりました。
私は普段、プロレスは、見ませんが、これまでに一度だけ、会場で見たことがあります。それも30年以上まえ。高校生の時。
隣のクラスに、S君というプロレスファンがいたのですよ。いつもスポーツ新聞やプロレス雑誌を読んでいました。スポーツ新聞は、エッチなページがあるので、学校には持ち込み禁止ですが、S君のはエッチなページが無い。つまり宅配用のもので、つまり定期購読しているわけです。
ボクシングファンの私としては、面白くないので「八百長の試合を見て、何が楽しい?」みたいなことを言ったのかと思いますが、これが彼の琴線に触れたらしく「小山君は、生のプロレスを見たことがあるのか?無ければ見てから言ってほしい。」とおっしゃる。それもそうなので、「機会があったら見てみたい」「それでは、今日、これから行こう。」青春だから展開も早い。
あとから知ったことですが、S君は日本国民ならだれでもご存じの、某プロレスラー(仮にG選手としておきましょう)のファンクラブに入っていて、高校生ながら、熱心に活動をしていたらしい。
なにしろ古い記憶ですが、とても良いところで見たのですよ。それはもうすごい迫力。2人の大男が、チョップをかましあい、汗が飛沫になって飛び散り、それを受けたほうは「グエッ」とか「ブハッ」とかテレビでは拾えないうめき声まで、聞こえてくる。ピンチになった外人レスラーは、卑怯なことに、パンツのなかに栓抜きを隠し持っていて、それでG選手のオデコをグリグリするもんだから流血して、いるんだかいないんだか分からないようなレフェリーが、反則をとらない。試合の結果など忘れましたが、まったくコーフンしました。
試合が終わって、S君が体育館の食堂に案内してくれて、そこで私が見たものは、信じがたいものでした。
あのにっくき外人とG選手が、同じテーブルで、食事をしているではありませんか?しかもオデコに絆創膏を貼ったG選手が、外人に「あれも食え、これも食え」と、接待しているように見えた。外人はビールをたくさん飲んで、しまいには我々がビールを取りに行き、栓抜きはどこか?とキョロキョロしていると、外人がどこからか取り出して、「ああ、いつも持ってるんだ。」とヘンな感心をして、プロレスのことは「訳がわからないが、強烈で、面白い世界である。」と認識したのでした。
G選手に「好きなものを注文しなさい。」と言われて、カレーライスを頼みましたが、出てきたのはカツカレー。「カツほうがいいからね。」
このとき初めてカツカレーを食べました。辛口で、おいしゅうございました。
以来、我が家で今晩はカレーであることが判明すると、カツを買いにスーパーへ。売り切れてると、車で大きなスーパーへ。配偶者に、「無ければあきらめなさいよ。アンタもしつこいね。」とイヤミ言われながらも、どうしてもカツカレーなんです。カツほうがいいですから。

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